光学顕微鏡と電子顕微鏡の違いって何?TEMとSEMの違いも。
生物学でよく違いが聞かれることが多いのでまとめておきます。
あくまで自分のためのメモなので正確さを期待しないでください。
光学顕微鏡とは?
よく使われるのが正立顕微鏡と実体顕微鏡です。
正立顕微鏡では色・ある程度の倍率と形状が平面的に読み取れます。
実体顕微鏡では色や正立顕微鏡までとはいきませんが肉眼より拡大して立体的に観察できます。
光学顕微鏡と電子顕微鏡の違いについて
光学顕微鏡は光の吸収、反射、透過などの特性を用いて観察します。電子顕微鏡は、電子線の反射、吸収、透過などの特性を用いて観察します。つまり、違う特性を用いて観察しているので、各々形態が見えますが、見えるもの、見え方は違います。
光学顕微鏡は位置と色(波長の違い)、明るさ(強度)の3つの情報がありますが、
電子顕微鏡は位置と明るさ(強度)の二つの情報しか有りません。
生物において光学顕微鏡は、色を持っているものはそのまま、多くは染色して、色の違いも含めて観察をできることが特徴です。蛍光染色をしたり、自家蛍光を用いて、特定の分子、特定の現象が起こっているかどうかを観察/検出できたり、透明なままで、位相差や微分干渉観察を行って形態を見たり、特定の繰り返し構造が偏光特性を持つことを利用して偏光観察することも可能です。
光学的分解能には限界があるので、細かな構造は見えません。ただし、分子を蛍光標識することで、検出する事は可能です。標識する蛍光色素の色を変える事で、複数の構造の関連を見たりすることが出来ることも、光学顕微鏡の特徴です。
光学顕微鏡は生きたままの細胞、組織を観察できることも特徴です。また、コンフォーカルを用いて厚い標本の奥の部分の光学切片を得ることが出来、三次元で構造を捉えることも可能です。
なぜ電子線を用いると高倍率で観察できるのか?
電子線の方が波長が短く小さなものに対しても光を放射できるからです。
電子顕微鏡について
電子顕微鏡は、SEM(走査電顕)だと、金属を蒸着したり、
TEM(透過電顕)では非常に薄い切片を作る必要が有ります。
ここの作業はかなり技術を必要として操作も大変です。
標本の環境は真空なので、生きたままの標本は基本的に観察できません。
ただし、分解能が高いので、高倍率で観察することが出来、分子レベルまで観察可能です。(分解能が高いだけなので、倍率が高い事は必須ではありません。)
SEMとTEMについて
SEMは走査型電子顕微鏡の略でTEMは透過型電子顕微鏡の略です。
高倍率だからいいじゃないかというとそういうわけではなく、
光ではなく電子線を使っているため、
モノクロ・真空状態によって生きたまま観察できない
というデメリットがあります。
費用面でもTEMは家一戸分でSEMは車一台分買えてしまいます。
それぞれ名前の通り
SEMでは電子線を反射させて高倍率で表面を観察できます。
TEMでは染色した粒子に電子線を透過させて高倍率で透過させて像を見ます。
簡単に言い表すと・・・・・・
SEMは鏡の像をみてTEMは影の像をみることだそうです。